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"Aiutati che Dio ti aiuta." 旅行で来た海外で迷子になるなんて本当にツイてない。うろうろおろおろしてたら男の人に声を掛けられて「道教えてくれるの!?優しい人だ!」と思って話をしていたら気付くと人数が増えていて二人の男に左右から囲まれてなんかこれこのままこの人たちについていったらやばいのかな?お金とられるのか?ヤラれるのか?殺されるのか?と思っていたところ、偶然通りがかった高校生くらいの金髪の男の子が彼らを追い払ってくれた。なんて話して追い払ったのかはわからないけど、おもったよりあっさり引いてくれた。おとなに向かって注意してくれるなんて、勇敢だけどきっと怖かったに違いない。「ほんっとうにありがとう!助かりました!きみは!?なんともない!?ごめんね、ほんっとうにありがとう…」 「いえ、気にしないで。観光ですか?女性一人でこっちの通りは歩かない方がいいですよ」 「えっ!私いつのまにか危ない道に迷い込んでました…?」 「ええ、まあ。あぶないひとばっかりです」 苦笑して、そして私のことを頭のてっぺんから靴の先まで一瞥し、(たぶん「コイツ見るからにあぶなっかしいな〜」とか思ったのかもしれない)「よかったら、向こうの大通りまで案内しましょうか」と提案してくれた。私はこの男の子が救いの神に見えた。両手を組んで拝むように「助かりますありがとうございます」と唱える。本当、なんてしっかりした男の子だろう。私は何度も感謝しながら、彼の横を歩いた。 「…あっ!そうだ、これ!せめてものお礼に!」 ふと思い出して、持ち物の中に忍ばせていたおりがみの鶴を取り出し、男の子にじゃんっ!と見せる。きょとんとした目で私の手のそれを見つめる彼は、え?何いきなり?って様子だ。 「あ、私ね、日本から来てるんだけど…知ってる?これ。おりがみ。ジャパニーズオリガミ…じゃぱにーず…ぺーぱー…?」 「……おりがみ」 「そう!…あれっ?だめ?海外でウケるから持ってくといいって聞いてたんだけどな…」 あっもしかして鶴だから駄目なのかな!?鶴に見えない?イタリアに鶴っていない!?通じない?バード、バード…だめか!?慌てて他のものを探して、「これお花!チューリップ!」って言いながら取り出したら、男の子が小さく肩を揺らして笑った。大人びた子に思えたけど、笑った顔は…かわいい、どころか、今更だけど顔きれいだなあ。 「すみません。じゃあ、そのツルをもらってもいいですか?」 「あ、う、うん!もちろん!鶴!(つうじた!うれしい!)」 「…それと、チューリップも貸してもらえますか」 うん?とその手に渡して、えっ喜んでもらえるなら他にも何か…と鞄の中身を漁った。ほんの数秒視線を外しただけ。 「はい。どうぞ」 え?と男の子のほうに向きなおったら、さっきまでおりがみのチューリップをのせていた右手に、彼はおりがみとおんなじピンク色のチューリップを持っていた。本物のお花だ。目をぱちくりさせて唖然としている私に、男の子は微笑む。「おりがみのお礼です」と。お礼にお礼を返されてしまった。私はぽかんとしながらも手を伸ばして、そのお花を受け取った。 「…て、手品?」 「ええ。手品です。やり方は内緒。…あ。ホラ、つきましたよ。ぼくはこれで」 良い旅を。男の子はそう言って、来た道を戻って行った。私はしばらく立ち尽くしてその背中を見送った。そういえばあの子、なんで「あぶないひとばっかり」の場所にいたんだろう。どこに帰っていくんだろう。 |