「やっぱりおばあちゃんにお雑煮レシピ聞いて正解だった……お雑煮って関東と関西で違うって言うよね。どうです?赤司くん。おくちにあいます?」
「ああ、美味しい。あったまるな」
「やった。オイシイいただきました。お餅まだあるからおかわりしてもいいんだよ。っていうか餅を消費して。実家からいっぱいもらった。食べて」
「……はたしか、餅はあまり好きじゃなかったような」
「うん。詰まったら死ぬと思って、飲み込むタイミングわかんないから昔は苦手で食べなかったけど…大人になってからは食べてるよ。でも確かに『好き』ではないかなーっていうか」
「ふ、それでも断り切れなくてたくさん貰ってしまったんだな」
「うん。ちゃんと『二人分ね』って言ったのにな。なんか『一人分じゃない』って知ったら無駄に…喜んで?いや張り切って?準備してくれた」

 鶏肉にふーふー息を吹きかけて冷まして、いざ口に運ぼうってときに、ふと、赤司くんと目が合う。なので口を開けたまま、きょとんとしてしまった。けどとりあえず食べすすめる。昔はお雑煮イヤ!お餅きらい!ってこの鶏肉とあとおばあちゃんがおまけしてくれる海老目当てに、それだけ食べてたな。思い出しながら、餅をなるべく少しずつ齧る。よく噛んで飲み込む。

「どうかした?赤司くん」
「……いや」
「ちゃんとよく噛んで飲み込んでるよ。詰まらせないよ」
「ああ、そうしてほしい。…いや、ただ、『二人分』なんだな、と思って」
「え?」
「俺のことを頭数に入れて、実家の…ご家族に話しているんだな、と」
「ん?うん。でも一人分って言っても足りたかもね。それでもいっぱいくれそうだし、私あんまり食べないから…」
「それでも、『二人分』がいいな。俺は」

 「今後も、ご家族にそういってくれるとうれしい」――赤司くんがそう言いながら、分厚く切られたかまぼこを口に運ぶ。食べ方が綺麗で、箸の持ち方も上手な赤司くん。私は少し首を傾げながらも、「うん、じゃあ、今度なにか聞かれたときも二人分お願いねって言っとくよ」と答える。

「赤司くん、よく食べるんだね。たしかにそれなら一人分じゃ足りないか」
「……そういうつもりでうれしいと言ったわけじゃないんだが……、……ふ」

 べつにボケたつもりはなかったのに、赤司くんが数秒沈黙してから顔を背けて肩を震わせた。新年初笑いでは?最近の赤司くんほんと笑い上戸だな。なんかキャラ保ててないな。まあいいんだけど。私は汁をずずーっと吸って、そのあったかさに息を吐く。赤司くんのキャラ、キャラか。そういえば、と私は少し前のめりに赤司くんへ話し出す。さっきのはべつにボケたつもりなかったけど、今度は、「これはおもしろい話なので笑ってくれるだろう」という気持ちで。キャラ保ててなかろうが、まあ、笑ってる赤司くんを見ると、なんかちょっと嬉しいのは確かなんだ。今年も、笑ってくれていたらいいなあなんて、思ったりもするわけだ。

「ねえ、初夢の内容覚えてる?私、赤司くんが出てきたんだよね。でもこれがちょっとヘンテコで、夢の中の赤司くんは自分のこと『僕』って言ってて、本物の赤司くんとちょっとキャラが違ってて……えっ赤司くん?赤司くん大丈夫?お餅のどに詰まった?

ニュー・イヤー・ハッピー・デイズ