「球磨川くん球磨川くん球磨川くん球磨川くん!!」
「『あ、やっほー!ちゃん久しぶり!すっかり連絡をくれないから、僕のことなんて忘れちゃったかと思ったよ。ほら、ちょうど、一時期大好きだったジャンプの連載の登場人物も、その連載が完結してしまえば記憶の片隅に追いやられてしまうのと同じように!』」
「そんなことないよ私は今でも連載終了したクロス・マネジ大好き!じゃなくてさあ球磨川くん!球磨川くん!緊急事態でしょ!」
「『何が?』」
「隕石だかミサイルだかが降ってくるんだよ!テレビでも言ってたし街中パニックだしなんかみんな泣き出したり叫び出したり怒り出したり祈りだしたり阿鼻叫喚!地獄絵図!」
「『えっ?これそんな大変な光景だったんだー。みんな仲良くヨーイドンで走り出したみたいな賑わいっぷりだったから分からなかったよ』」
「どうにかしてよ球磨川くん!君なら出来る!なんかそういうの全部こう、消しちゃってよ!なかったことにしちゃってよ!」
「『えっ?なんで?』」
「なんでもだよ!日本が焼け野原になったらどうするの!」
「『そうしたらまた一から緑を植えたらいいんじゃない?ミキプルーンの苗とか』」
「そういう問題じゃないよ!!私結構真面目にお願いしてるんだよ!!」
「『落ち着けよ、ちゃん。冷静に考えてさ』」
「…分かった、深呼吸する。すう、はあ、すう、はあ、はあ、はあ」
「『あ、だめだこの子全然冷静じゃないや』」
「どうにかしてよ球磨川くん私まだ死にたくないの」
「『うーん、でも僕そんな大層なこと出来るかなあ』」
「で、できないの?」
「『だってそんなことしたらすっごくヒーローみたいじゃん』」
「よかったじゃん」
「『僕に出来るのはせいぜい焼け野原になった世界で自分と君の死を無かったことにすることくらいだよ』」
「……」
「『世界に二人っきり。アダムとイヴみたいだね。そこから新しく人類初めてみる?』」
「……」
「『地球が滅ぶなんてべつに怖いことなんかじゃないさ。よく神様って七日間で地球作ったっていうし。脆い建物だっただけだよ。あっちの高層ビルの方がよっぽど時間かかってるし』」
「…」
「『そりゃあ滅ぶときは一瞬だよね。そう思わない?ちゃん』」
「……」
「『…あれ?もしかしてさっきの二人で生き残るかどうか真剣に考えてくれてる?』」
「うん、真剣に考えた結果、無いな、って思った」
「『振られちゃったかー』」
「うん。だって二人だけで生き残ったってきっと意味ないよ、球磨川くん。私、自分と球磨川くん以外にも生き残って欲しい人いっぱいいるから」
「『そっか。君らしいね』」
「球磨川くんも球磨川くんらしいよ。無茶言ってごめんね。じゃあ、みんなで仲良く消えてなくなろう!」
「『開き直るの早いね、さっきまであんなに死にたくなさそうだったのに』」
「いやまだめっちゃ怖いけど」
「『ねえちゃん。一つ訂正してほしいんだ』」
「なあに球磨川くん」
「『君はさっき、僕ら二人だけが生き残った世界なんて意味がないって言ったけど、僕にはあるんだ』」
「そっか。ごめん、訂正する。そんな世界、意味はあるっぽいけどやっぱやめようよ」
「『うわー言葉を変えて二回振られた気分』」
「しょうがないじゃん」
「『しょうがないね。君の頼みだから』」

「…で、結局できないんですか?本当に?世界救えないんですか?ねえ。かっこつけないで教えてよ球磨川くん」
「うーん。どうしようかなあ」



生温い愛の終わり
きっぱり振られたんだから潔く次に生きませんか球磨川くん