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「浅桐くん、あきらかにヒーローより悪役サイドだよなあ…笑い方と顔…」 「恋人の顔見てしみじみ言う台詞じゃねぇわなァ、そりゃ」 「特撮ヒーローの主人公はやっぱさあ…顔もいいからさあ…じゅのんボーイとかだからさあ…」 「ほーお?これだから女の言う『特撮好き』は信用なんねーのよ」 「いやうそうそ。中の人だけじゃなくガワも愛してる女よ。あと悪役も愛してる女よ。あと浅桐くんの凶悪顔も愛してる」 「はいはい、軽々しい『愛してる』だこと」 「つまり浅桐くんがヒーローでも悪役でも愛してるのよ」 「特撮ヒーロー好きのお前が付き合いたいのは『ヒーロー』だろ?」 「んーまあね。まあ悪役よりはそうね。『私の彼氏ヒーローやってんのよ〜』って言うの夢だったよね」 「ヒヒ、そりゃあ素直でよろしいこった。白星あたりの正統派じゃなく崖縁で妥協するってあたりもお前らしいわな」 「浅桐くんがヒーローだから浅桐くんと付き合ってるわけじゃないよ?」 「ほーお?」 「だって浅桐くん、あきらかにヒーローより悪役サイドだしなあ…笑い方と顔…」 「話が頭に戻ってんぞ、お花畑バカ」 浅桐くんが、私のスカスカでお花と綿あめしか詰まっていない(というのは浅桐くん談)(なんかゆるふわ女子っぽくてかわいいので気に入ってる)頭をコツコツ軽く叩く。だってさあ、とまた同じ話を続けそうになって、やっぱり黙っておいた。浅桐くんは、私の初めてできた恋人で、そんでもって、個人的には、運命の人だと思ってるんだけどな。だって好きな特撮ヒーローの話で盛り上がるし、おんなじ変身ベルト持ってるし、一緒に決めポーズもきめてくれるし、なかなかそんな彼氏、できないと思うんだよねえ、今後の人生。そんでもって彼は本当に、高校生兼「ヒーロー」なわけで。そりゃあ、自慢の彼氏じゃないか。(まあヒーロー兼、ヒーローを改造手術する側でもあるっていう不思議な人だけど)でもね私ね、浅桐くんがヒーローだから好きっていうより、あと特撮好きで話が合うからっていう理由だけでもないし、ええっとねえ…なんだろうね。 「運命だねえ…」 「運命だぁ?」 「え、運命じゃない?好きじゃない、そういうの。ドラマチックでしょ、運命。私たち、ちがう?」 「お前が言うと軽々しいね、どーも。『愛してる』も『運命』も」 「じゃあ代わりに浅桐くん言ってよ。『愛してる』も『運命』も」 「言わねーよ」 「なんでよー」 「今ここで言ってもドラマチックじゃねぇからな」 「じゃあどこでなら言う?」 「オレはそーいうネタバレはしない主義なのよ」 「ちぇー」 「ま、いろいろプランはあるが。言う機会を逃したら最悪ー…死ぬ間際にでも言ってやろうかね」 「浅桐くんって死ななそうだよねぇ…殺しても死ななそう」 まあ666回交通事故ってる人だしな。追い込まれたら、人体強化してむしろ逆に不死身の身体を手に入れちゃいそう。そのうちやりそう。だから、到底来そうにない死ぬ間際なんて瞬間じゃなくってもっともっと早めに、そのときが来ればいいなあ。情熱でドラマチックでロマンチックな「愛してる」、聞きたいなあ。ぼんやり考える。考えて、考えて、ハッ!とあることに気付いた。 「浅桐くん死なないの嫌だな!?私はしぬのに!?私死にそうになったら、私のことも人体改造してくれる?いじくりまわしてくれる!?一緒に不死身になっていいよ、わたし!」 ちょっと前のめりに浅桐くんにそう詰め寄ったら、がらにもなくビックリ、ぎょっとした顔をされた。わたし、結構真剣。まじまじ。数秒の間を置いて、浅桐くんが笑いだす。あのへんな笑い方で。いやこの爆笑の仕方こわいな。でも心底愉快そうだ。 「イーヒッヒ!ヒィ、あー、笑った……さすが、分かってるねぇ。オレの認めた女だわ」 「だってさあ…」 「わーってるよ、頼まれたってオレが死なせねーな。お前のこと」 浅桐くんが、私の額を小突く。からっぽで、わたあめとお花しか入ってない(いやそのふたつが入ってるから空っぽじゃないな?)頭は、いつか浅桐くんにいっぱい中身を詰めてもらおう。素敵なもので満たしてもらおう。なんか、「俺が死なせないよ」って、ヒーローっぽくていいな。「愛してる」にも「運命」にも聞こえるな。そんなふうに思えて、ふふふと機嫌良く笑う。浅桐くんがそんな私を見て、やれやれみたいな優しい顔して、そのあと悪戯っぽく、口角を持ち上げる。凶悪な笑い方。こっちおいで、みたいに腕へ招かれる。ヒーローでも悪でもいいのだ、浅桐くんだから。私の、運命の人だから。愛しちゃってる恋人だから。 「、手始めにオレに体のどこ弄ってほしい?」 「なんかエロいことするみたいだなー、その言い方」 「エロいことしてやろーかって誘ってんのよ、こっちは」 「誘い方が独特すぎるなー、浅桐くん」 マニアチックラブ |