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「花道がまた女子にフラれに行ったらしいぞ!」 「いやそこは『告りに』って言ってやれや」 「よっしゃ見に行こうぜー!」 「マジぃ!?あたしもいく!あたしも!」 これで何回目だろう?何十回目だろう?キャッキャ笑いながら、おなじみの連中の後をくっついていく。花道ったら、ばかね。ほんとカワイソーだ。うんと笑ってやらなくちゃ。昔馴染みのその男の、へこんだ泣き顔を想像する。中学生になって、何回目だろ。高校に行っても続けるのかしら。どうしてそんなにぽいぽい好きな子ができちゃうのか、男ってふしぎ。ふられまくって、いい加減懲りて、ちょっとは控えればいいのに。なんでふられてもすぐ別の子好きになれちゃうのか、ふしぎ。だいたい花道が好きになる子って似たようなかんじ。顔がかわいくって、いい子そーで、いかにも!って感じの。ばかね、そんな子が花道に振り向くわけないってーのに。ほーんと高望みしすぎってゆーか。 「お、いたいた!」 「あらー!隣のクラスの一番人気のミホちゃんじゃない!花道が付き合えるわけなーい!」 「しーっ!聞こえん!記念すべきウン十回目の『ゴメンナサイ』が!」 「うひゃひゃっ、ごめーん!だまるぅ」 口を押さえて、耳を澄ませる。男子たちに混ざって、物陰に。ばかみたいね、花道。かわいそーね、花道。放課後うんと笑って、うんと慰めてやろ。今日は一緒に帰ってあげて、アイスおごってあげちゃってもいいくらい。まあ花道はあたしじゃなくて、ミホちゃんと一緒に帰りたいんだろうけど。寄り道して、きゃっきゃうふふして。そんなこと考えてんだろーな、花道。あたしと帰ってるときはそんなこと考えないんだろーな。 耳を澄ませる。息をのむ。聞きたいその一言が聞こえてくるのを待った。もしも、答えがソレじゃなかったら、どうしよう。もしあのかわいい女の子が、ニッコリ笑って、頬をポッと染めて、花道に、「私も好きです」なんて言っちゃったら。ずっと前から好きだったの、とか。やっとこっちを見てくれたのね、とか、そんなことを、もしも言っちゃったら。もしも言ったら、どうなるんだろう。 「ゴメンナサイ」 はっと我に返る。そのゴメンナサイを合図に、大楠たちがワッと飛び出して花道の元へ駆けていった。 「おめでとう花道!!これで何度目だろーなぁオイ!」 「やっぱすげーよ花道〜!!誰もお前の記録には叶わねー!」 わいわいからかうみんなに囲まれた先で、花道が泣きながら何か言ってる。ちょっと出遅れて、あたしも、慌ててそっちへ向かった。ああ、よかった、思った通りの展開。あーあ、そりゃそうだよね、ふられるわよね、うんうん。何をちょっとでも「今度こそ付き合っちゃうかも」なんて思ったのかしら。にやにや笑顔を浮かべて、花道へ向かっていく。洋平が「おめでとう、」って小さく言う。そーよ、花道がフラれるたび、あたしにだって「おめでとう」なのよ。おめでとう、よかったね、あたし。 脳裏上の クラッカー |