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「空から爆弾が降ってきて死ぬのと避けられない天災とかで死ぬのどっちがマシでしょうね」 「うーん…爆弾もボクら市民がどうこうして止められるものじゃないし、避けられない天災とそう変わらないかもしれないね」 「そっか」 「うん」 「でもどっちかっていうと…」 「うん?」 「……どっちも変わんないですねえ」 「ふふっ、そうだね」 布団に包まって、この人ととても近い距離で見つめ合うと、いつも、ちょっと不思議な気持ちになる。べつに初めてのことではないのに、もう慣れっこのはずなのに。東さんがこうも独特な雰囲気を持った人だからだろうか。確かに目の前に存在する一人の男の人だというのに、私はなんだか、本当は存在しない、夢の中の人物みたいな存在と、一緒に布団に入っているような気になる。それくらい、東さんっていうのは不思議な人だ。儚げというか。白いっていうか薄いっていうか、朝になったら消えちゃっていそうな、そんな人だ。色でいうなら白で、いやそれは別に名前に白が入っているから白っていうわけじゃなくて、でも名前にぴったりなくらい、白、だった。東さんは、私が突然へんなことを言い出しても、へんなものを見る目では見ない。だけど私は東さんにくっついて寝ると、いつもへんなことばっかり考えだしてしまう。東さんは笑って、そういうものだよ、って言った。人間、布団に入って眠る前、いろいろと考え込んでしまうものでしょって。 「ボクも、どっちでもいいかな。でも…」 「でも?」 「どっちが起こるとしても、こうしてキミと添い寝しているときがいいな」 「そうですね。一人のときそんなこと起こったら怖いですもんね」 「…だって、そうすれば、置いていかれることはないから」 布団の中で、東さんが私の手をにぎる。私は、ちっとも重くならないまぶたをはっきりと持ち上げながら、東さんの顔を見た。さっきまで開いていたのに東さんは目を閉じている。私にその話を深く聞かれないように、逃げているみたいだった。だけど私がちょっと力をこめて手を握り返したら、そっと彼はまぶたを持ち上げる。 「ごめん。ボクだけ先に寝ちゃ駄目だね」 「…そうですよ。置いていかないで」 「うん。置いていかないよ。もっとこっちにおいで。一緒に眠ろう」 私も、死ぬなら今がいいなあ。ぼんやり思いながら、体をそっちに寄せた。お互いを手繰り寄せるように抱きしめて、私は目を閉じる。彼も目を閉じているんだろう。どちらが取り残されても駄目。一緒に眠る。同時に眠る。目を閉じれば何も見えない。だけどそこに広がるのは暗闇では無いと思える。色でいうなら白。真っ白。東さんの色。きっと世界の終わりっていうのは、ぱちんと真っ暗になるのではなくって、ぱちんと、真っ白になるのだと思う。二人でならそんな真っ白な世界もいいかなと思えるから不思議だ。私は眠りについている間に世界が終わるよう願った。そうすれば私は彼を置いていかないし、置いていかれることもない。どうか朝が来ませんように。朝がきませんように。きっと私たちは毎晩、同じ願いを抱きながら眠っている。 |