「真田くん」
「ん?どうした?」
「……」
「…なんだよ」
「アキ?」
「なんだ…?シンジの真似か?」
「あきひこ」
「…、…なんだよ」
「美鶴の真似か?って訊かないの?」
「!? み、美鶴の真似だったのか!?」
「なんで顔あかいの」
「…うるさい。何がしたいんだよ、用があるなら早く言え!」
「呼んでみただけ」
「……そうか」
「真田くん」
「…」
「あきひこくん」
「なんだよ」
「好きだよ」
「…、……は!?」
「いまのは、誰の真似でもないよ」
「そ、そんなのは、わかってる」
「誰かの真似じゃない、私の、どんな言葉で伝えようかなって考えたんだけど、なんか『好き』にしかならなかったや」
「…べつに、それで十分じゃないのか」
「うそ。あんま伝わってないかなって」
「それは、おまえがいつも何考えてるか微妙なトーンで、話すから」
「やっぱり?」
「…けど、まあ、いい。今のはじゅうぶん伝わった。心がこもってた」
「ほんと?いつもとあんまり変わんないテンションで言ったんだけどな」
「お前、顔めちゃくちゃ赤いぞ」
「………、…うっそだー…」





★相手にお願いを一つ聞いてもらうとしたらなんて願いますか?


「なるほど。この場合、何か改善してほしいことや不満に思っていることを言うのがお互いの為かもしれないな。何かあるか?」
「…そうだねえ……牛丼屋に行ったときに何も聞かずに勝手に人の分も大盛りで頼まないでほしいとか…ひとが真剣な話をしたいときに筋トレしながら聞こうとするのはやめてほしいとか…プロテインをすぐすすめてくるのはやめてほしいとか…そういうの?」
「……そうか。わりとたくさんあるんだな…不満だったのか…」
「でも…食べられない分は真田くんが食べてくれるし、筋トレしながらでも真剣に話聞いてくれるし、この間すすめてくれた味のプロテインは飲みやすくてよかったし…特に不満じゃないかも。真田くんらしいなあって思うし…」
「…そうか。それなら安心した。『俺らしい』って思ってくれるお前が、それこそ…お前らしくて、いいな」
「うん?そう?…じゃあさ、やっぱり直してほしいことじゃなくて…もっとこう…してほしいこととか、約束したいこととか…そういうお願いを考えてみたほうがいいかも」
「してほしい…約束…か。それもまた、ぱっと思いつくことはないな…」
「うーん…当たり前っぽいことだけど改めて、みたいな…」
「そうだな……危ないことはするな、とか、俺のそばにいてくれ、とか、これからも一緒に…とか、か? 当たり前すぎて、今更頼むようなことじゃない気がするんだが」
「……うん。照れもせずふつうに言ってるところが、真田くんらしいねえ…」
「? けど、当たり前のことじゃないか?」
「ん?うん?当たり前だね?」