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高尾くんはとてもいい人だ。私が思っていたよりもずっとずっと、もっともっと優しい。 私がシュート打てるか見に来てくれて、成功したときには「ナイッシュー」って笑ってくれた。喜んでくれた。シュートが決まったってことだけでも嬉しいのに、高尾くんにそう言われたとき、わーっと胸の中に嬉しさがこみあげてきて、にやにやしっぱなしで。「ほら言ったでしょ、できたでしょ」ってにこにこ笑う高尾くんは、本当に素敵な、良い人に思えた。優しい。私なんかにも優しいなんて、すごく、いいひとだ。だって私なんて、それまでたいして喋ったこともないただのクラスメートだったのに。きっと高尾くんはクラスメート全員に平等に優しくできる凄い人なんだろうなあって考えると、やっぱり胸がほっこり温かくなった。良い人だなあ良い人だなあ。尊敬、というか、憧れ、というか。なんだろうなあ。人にやさしくされると、嬉しくなるのは自然のことだからしょうがない。高尾くんみたいに、おしゃべりが上手で、困ってる人とか弱気になってる人に声をかけられるような人間になれたら、私ももう少し自分が好きになるのかなあ。なんて。なんだかちょっと恥ずかしいことを考えているかもしれない!私はその日の出来事を思い返して、いい一日だったなあと幸せな気分で、眠りについた。 目が覚めた時。私はすぐには布団から出ずに、ぴしっと固まったまま夢の内容を思い出していた。冷静に、思い出す。ぼんやりとした記憶をたどって、頭の中で整理した。夢の内容は、変わらない。ここ最近ずっとずっと、変わらない。もういっそ慣れてしまったようにさえ感じる。夢の中に出てきた男の子の顔を思い出す。声を思い出す。他の誰でも無く、やっぱり、高尾くんだ。そりゃあ、寝る前さんざん高尾くんのことを考えていたら夢に出てくるのも納得といえば納得だけど、でも、だからって、今朝くらい、あんな夢じゃなくたって! 「高尾くんへの印象が変わるのとあの夢が恥ずかしくなくなるっていうのはまた別問題っていうか!」 「ー、もう朝ですよー。起きてるのー?」 「はあいばっちり起きてます!!」 むしろ余計に恥ずかしくなった。高尾くんは優しくて、良い人で、優しいのは誰に対してでも一緒なのに、なんだか私変な方向に勘違いして、あんな夢見ちゃってるんだろうか。うわあ恥ずかしすぎる!痛すぎる!図々しいにも程がある!もういい加減別の夢が見たい!高尾くんの出てこない夢がいい!私はそう心のなかだけで叫びながらベッドの上をごろごろ転がって、そのままドスンとベッドの下に落ちて、半泣きのままに一日がまた始まった。 |